« 車社会アメリカ | トップページ | アメリカ交通事情2 »

2007年9月15日 (土)

家庭医受診

初めて家庭医 Family medicineを受診した。

2週間前に左目に麦粒腫(ものもらい)ができ、自然治癒した後に左目が充血した。細菌感染を疑い、友人の獣医から犬用の抗生剤入り点眼薬(中身はヒト用と同じ)をもらって点眼していたがなかなか直らない。そこで医者を受診することにした。

日本ならば直接眼科へ行くところだが、アメリカでは医療保険の種類によっては最初に家庭医を受診することが義務づけられている。私は職場の医療保険に加入しているが、加入の際に家(前に住んでいたアパート)の近くの家庭医を指定してあった。

家庭医は日本の一般内科に近いのだが、診断とプライマリケア(初期治療)に特化していて、診察とごく簡単な検査のみで診断を下し、初期治療を行なう。重症者や初期治療で良くならない患者さんのみを眼科などの専門医へ紹介する。

このシステムの利点は、
1.患者さんはどんな病気にかかっても同じ医師を受診すれば良く、何科か迷わなくて済む。
2.最初に高度な検査は行なわないので、軽症者は安い医療費で済む。
3.専門医が混雑するのを避けられる。

しかし、専門医が必要な病気の場合は重症でなければ受診までに時間がかかってしまう。またアメリカの保険は契約内容によって受診できる病院や受けられる治療に制限がある。保険診療ならばいつでもどこの病院でも受けることのできる日本の皆保険制度とは大きく異なるのだ(医師の局在化によってこの原則も崩れつつあるが)。

朝一番に電話してすぐに受診したい旨を伝えると10時に来るよう言われた。到着したときには待合室には20人以上の患者さんが待っていた。窓口に行くと問診票を渡され、記入するようよう指示された。初診の際にカルテ作成のため居住地や保険の種類、病歴の確認を行なうのは日本と同じだ。問診表には今回の受診動機や過去の病歴等に加え、家庭内暴力 Domestic violence (DV)とエイズに関連した性行動についての質問がかなりあるのがアメリカらしい。30分ほどかけて問診表に答えた後さらに45分ほど待ち診察室へ。最初に看護師がやって来て血圧を測定しながら病歴を聴取された。まもなく医師が現れ診察開始。ごく簡単に病歴を聴取し、アレルギー歴などについて問診。特に目を診察することはなく、すでに抗生剤点眼をしているので別の抗生剤とアレルギー点眼薬を使って改善しなければ専門医に紹介しましょう、との事。原因を尋ねると、すでに2週間経過しているのでウィルスではないでしょう、細菌感染かアレルギーが疑わしい、との答(このようにたくさんある病気の中から症状や身体所見、検査所見によって可能性の高い病気に絞っていくことを鑑別診断という)。特に尋ねられなかったのでコンタクトレンズ着用については話さなかったが、話していたら角膜損傷の可能性が加わったことだろう。外科医の私が考えていた診断、治療とほぼ同様であった。要するに、眼科医でないもの同士余り変わりがないと言うことだ。処方箋を書いてもらい受診終了。3分診療だった。

基本的には日本の開業医と全く変わりない印象だ。診察室が多く、看護師や(採血等を行う)テクニシャンがたくさんいるので、部屋で待たされているところへいろんな職種の人がやって来てあまり待たされているように感じさせない点は日本も学ぶべきと思ったが、実際の診療内容、時間はほぼ一緒だ。

処方箋をドラッグストアに持っていき、待たされること1時間。点眼薬を2種類渡され、いきなり

「何か分からないことはある?」

質問しようとすると、

「薬剤師を呼ぶから待って。」

日本の薬局の方がよほど懇切丁寧に説明してくれるぞ。それに高い。薬価が日本に比べてだいぶ高く設定されているようだ。

幸い処方された人間用の抗生剤点眼薬は効果があり、専門医受診には到らずに済みそうだ。

日本ではとかくアメリカの医療システムは先進的で無駄が少なく、患者さんの待ち時間も少なくて素晴らしいと盲信されているが、あんまり変わらないぞ。優れている点もあるが、日本の方がいい点もたくさんあると思う。日本では医療のアメリカ型への切り換えが進行しつつあるが、日本の良さを失しなわない方向で考えた方が良いのでは?と感じた今回の受診であった。

« 車社会アメリカ | トップページ | アメリカ交通事情2 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/125260/16462653

この記事へのトラックバック一覧です: 家庭医受診:

« 車社会アメリカ | トップページ | アメリカ交通事情2 »